皆さんこんにちは‼︎
アメリカ産ポマードの香りを愛してやまない、東京生まれHiphop育ちを地で行くChill Chair高円寺のナカバヤシです。
さて、今回は僕たちがよく使うスタイリング剤について解説します。
- カッコいい俳優さんがセットしてるCMを見て買ったり、人気の美容室でオススメされたワックスをいくつも持ってるんだけど全然うまく使えない!
- 頑固な髪質過ぎてどのスタイリング剤が合っているのか分からない!
- 高級な海外のポマードでちょっと背伸びをして大人の男を演出したい!
- 安くて手軽に、朝のセット時間5分でバッチリ決まるスタイリング剤がいい!
そんな方多いのではないでしょうか?
男性用のスタイリング剤、種類がたくさんあるし新商品が次々と出てきて、何を買えばいいか分からなくなってしまいますよね。
商品のパッケージやコンセプトに惹かれて買っては見たものの
「失敗したー!」
という経験を何度もしてきているのは僕だけじゃないはず..です。
そこで今回は
・スタイリング剤にはどんな種類があるのか?
・それぞれどんな性質をもっているのか?
・プロのバーバーに支持されるスタイリング剤は?
について徹底的に解説しました!
「これ以外使いたくない!」というお気に入りを見つけるための参考にしてください!
目次
1、江戸時代から現代までの「スタイリング剤の歴史」をかんたんに紹介
まずはスタイリング剤の歴史をさらっと見ていきましょう!!
1800年代、日本では江戸時代に、鬢付け油や椿油などとして「まげ」や女性の日本髪結いを作る時などにスタイリング剤は使用されていました。
1900年代に入ると急速な近代化・西洋化、そして断髪令によるヘアースタイルの多様化ともない「ポマード」が一気に一般に普及します。
しかし当時の大日本帝国が富国強兵を掲げ軍事国家化を推し進めると、残念なが国力は軍事に集中、ファッション、カルチャーの世界は暗黒時代に突入します。
お寺の鐘や、民家のヤカン、包丁に至るまでの鉄製品が軍により接収されたのですから、派手な服やスタイリング剤をはじめとする化粧品など作っている余裕など無かったのでしょう。
当時を象徴するこんなポスターがあります。
翼賛型の髪型、
うちが刈り上げの授業で作った髪型と似ている pic.twitter.com/vjSQW7IZdz— ヲスズネン。 (@ssszn1) September 1, 2014
今の価値観からはとても考えられないですが、一般人の髪型も軍に管理されていたんですね..
終戦後、しばらくしてようやくさまざまなスタイリング剤が発売されはじめます。
1950~60年代には「ヘアクリーム」や「ヘアリキッド」
1980年代には「ジェル」や「フォーム」、「スプレー」などの人口樹脂を配合した製品
そして1990年代には今ではお馴染みの「ワックス」が登場し、現在に至ります。
2、「ワックス」「ポマード・グリース」「ジェル」「フォーム」を1つずつ解説
では、ここからは代表的なスタイリング剤、「ワックス」「ポマード・グリース」「ジェル」「フォーム」についてそれぞれ詳しく解説します!
2−1 「ワックス」 ぺしゃんこヘアーに動きと質感をプラス 多種多様なザ・王道!
ワックスは最も多くの人に使われているスタイリング剤でしょう。
粘土、もしくはクリームのような見た目で、硬さ、質感に様々な違いがあり正に多種多様です。
たいていの場合、1つのブランドから
- スーパーハードタイプ
- ハードタイプ
- ミディアムホールドタイプ
- ソフトタイプ
のように硬さによって数種類リリースされています。
さらに質感の違いにもタイプが分かれていて、
【タイプ1】ファイバータイプ – 束感作りのスペシャリスト
中に繊維質が配合されており、粘着質でビョーンと伸びる質感です。束感を作るのに適しています。
【タイプ2】ソリッドタイプ – ワイルド硬派のド定番
THEO|Products|ルベル – LebeL ALL YOUR OWN より引用
硬い粘土のような質感で、力強く根本から動かすことができますが伸びは良くありません。
【タイプ3】クリームタイプ – 伸び良し馴染ませ超かんたん
通常半固形の物がおおいワックスですが、さらにゆるくクリーム状の物もあります。
伸び、馴染みが良く、油分、水分が多め 簡単に伸ばせるのでセットが楽でダメージケア効果もある優れものです。
【タイプ4】ウォータータイプ – ツヤ感毛流れ男の色気
ムービングラバー | ヘアスタイリング | 使い方 | 商品情報 | GATSBY [ギャツビー] mandom より引用
伸び、馴染みがとても良く、水分量がとても多いです。
水分の重みを使ってしっかりと抑える、毛流れを出す事が得意で、セット力はそこまで高くない物が多いのが特徴です。
以上のように、
- ファイバータイプ
- ソリッドタイプ
- クリームタイプ
- ウォータータイプ
などが代表的なタイプとしてあります。
いやー種類多すぎですねー笑
選ぶときは髪質、長さや毛量、作りたい髪型を見極めることがとても重要になってきます。
ワックスの選び方の解説もお届けしようと思っていますので、楽しみにしていてくださいねー!!
2−2 「グリース・ポマード」立ち上げる・抑える・ツヤを出す 新時代の到来!
最近になって人気が再燃し始めたのがグリース、ポマードです。
ワックスとの最大の違いはツヤ感と香料!
多くの水分、油分を含んでいるため強いツヤ感がでます。
そのためワックスを使った時よりも、「ちゃんとセットしてるな」という印象を与えることができます。
そして昔のポマードからは天然の油分から原料の匂いがしてしまっため、それを隠すために大量の香料が加えられていました。
ちなみに世界初の量産ポマードは豚の油にりんごの香料が加えられていたそうです。
その名残りか、ポマード・グリースには強めの香料が使われていることが多く、特に海外製の製品にはこの傾向が顕著です。
ですので購入の前には必ず香りをチェックし、自分の好みに合っているかを確認しましょう。
ポマード・グリースは、ワックスよりも
- 抑える
- 毛流れを作る
- 根元から立ち上げる
ことが得意です。
さらにハードなものであれば力強い動きやスパイキーな束感を出すことも可能です。
このジャンルには
古くからある「油性」と、
後発の「水性」の二種類があります。
油性は抜群のセット力、ツヤ感を発揮しますが凄まじいベタつきと洗い落としにくさがあり(2回や3回程度のシャンプーでは完全に落とし切ることはできません!)、現在では敬遠されがちでかなり珍しい存在となっています。
一方で水性は油分内に水素を添加することで、簡単に水に溶けるようになっています。
この水性の登場により、従来の油性グリース、油性ポマードの「中々落とすことができない」という弱点が完全に逆転し、ワックスよりも簡単に落とすことができるようになったのです。
この落とす時の手軽さがグリース・ポマードの人気の要因の1つとなっています。
ちなみに「グリース」と「ポマード」の違いは諸説入り乱れています。
「グリースが水性の物を指し、ポマードは油性の物を指す」
とか(その逆を謳っているメーカーもあります。)
「固形の物がポマード、半液体状でとろみがあるものがグリース」
や
「グリースは商品名でポマードがスタイリング剤としての種別名だ」
などと言われています。
現に日本で最も売れている水性ポマード「クールグリース」シリーズ
名前にはグリースとついていますが品名には「水性ポマード」の名が記載されています。
2−3 「ジェル」 サッと伸ばせてパリッと固まりサッと流せる 最速セットで朝の味方!
さて、グリース・ポマードに続いてツヤ系スタイリング剤の代表格、ジェルです。
仕上がりの見た目はグリース・ポマードと同様強いツヤ、強めの整髪力ですが、ジェルはパキパキに固まってガッチリホールドしてくれるのが大きな特徴です。
さらにグリース・ポマードと同じく水に溶ける性質を持っていて、セット力が強い上にさっとシャワーで洗い落とせるため、扱いがとても簡単!
忙しいサラリーマンの方にとっては心強い味方となってくれます。
- ツンツンのスパイキーヘア
- しっかりと流して固める73スタイル
- ゴワゴワした髪の毛を抑えたいとき
などにその強みを最大限に発揮してくれます。
欠点としては髪の毛をコーティングしてしまうので髪や頭皮に負担がかかってしまいやすいことです。
そして柔かいネコっ毛だと、含んでいる水分の重みでスタイルが潰れてしまいやすいことですね。
ポマード・グリースが油分による粘性で毛髪をくっつけて形作っているのに対して、ジェルは「ポリマー」と呼ばれる人工樹脂と水、アルコールが主成分となっています。
髪の毛に付けると、アルコールが水分とともに蒸発し、残った人工樹脂が目に見えない膜を張って固まり、スタイルを作ります。
ジェルが固まったあとに無理やり手グシを通すと白い粉が出てきますよね?
あれは髪の毛をコーティングしていた人工樹脂がはがれ落ちたものです。
2−4 「フォーム(ムース)」 泡で包んでフワッとキープ 長め・パーマスタイルのセットを超楽チンに!
さて、こちらも呼び方が2通りあります。
「フォーム」と「ムース」
どちらかと言うと「ムース」の方が馴染みがあるのではないでしょうか。
実は「フォーム」がスタイリング剤としての種類の名前で、「ムース」は資生堂が商標登録した商品名なんですね。
だから資生堂以外は「ムース」と言う名前は使えずに「フォーム」と言う名前を使っています。
泡で髪の毛を包み込んで乾くとセットされるのがフォームです。
泡をもみこむだけで髪全体に馴染ませられられるので扱いが非常にカンタンです。
そのためにクルクルのパーマスタイルや長めのスタイルなど、ワックスなどではセットが大変な人に重宝されています。
フォームにも種類がいろいろあります。
ソフトやミディアムタイプは長めのスタイルの毛先に動きやまとまり、毛流れなどのニュアンスを出したり、パーマ感をより強調するセットが得意です。
ハード、スーパーハードになるとジェルのように強いツヤ感を伴ってパリパリに固まり、スパイキーなショートヘアーやピッチリした73ヘアを簡単に作れます。
基本的にジェルと同じ原理で人工樹脂によって髪の毛をコーティングして固定、整髪し、水にも簡単に溶けてツヤが出るものがおおいです。
しかし最近は「ワックスフォーム」という新しいタイプが出てきました。
こちらは泡の中にワックスの成分を混ぜ込んだことで、ワックスで作ったような自然な仕上がりとなり、ツヤは控えめとなっています。
人工樹脂タイプとは異なり固めることがないので、ふんわりとしたスタイル、柔らかなパーマスタイルにおいて抜群の使いやすさを発揮し、人気が急上昇しています。
水分をたくさん含んでいますがジェルやポマードのような重さがないので、軟毛の方でも潰れることが無いのでおすすめです!!
3、バーバースタイルで使うスタイリング剤は「グリース・ポマード」
さて、僕たちプロが現場でバーバースタイルを作ったときに1番使う整髪料は何か?
ズバリ「グリース・ポマード」です。
バーバースタイルはサイドやバックをフェードにより短くし、その刈上げの時の地肌の白から髪の毛の黒へと色が変わるグラデーションの美しさと、長く残したトップの毛流れの美しさにより成り立っています。
この毛流れを作るのに適しているのはジェル、もしくはグリース・ポマード。
ジェルでももちろん問題ないのですが(むしろ扱いやすさは上かもしれません)、ハード、スーパーハードタイプだと結局はガチっと固まってしまい、モノによっての差はでづらいです。
ドンキで買った激安ジェルも、専門店で買ったハイクオリティーなジェルも、
正直な話白い粉がでやすい、でにくいくらいじゃないでしょうか?
水性のスタイリング剤の伸びの良し悪しは、付けるときに軽く水を混ぜることでコントロールできますしね。
ジェルは便利ですが、使うときの楽しみが少ないと僕は感じます。
また頭皮、髪の毛への負担も気になります。
その点ポマード・グリースは質感、固さ、ツヤ感、香りなどに様々な違いがあり、メーカーさんたちが詰め込んだであろう「こだわり」や「世界観」がとても顕著に現れます。
僕はそこに「カッコよさ」を感じます。
例えばオランダ、ロッテルダムにある世界的なバーバー「シュコーラム」
彼らが作ったREUZEL POMADEシリーズはビンテージ風の汚れをペイントした缶にブタが描かれています。
これは前述したように昔のポマードがイノシシやブタの油を使っていた歴史を表しています。
このシリーズには今では珍しい油性のポマードも用意されており、古き良きバーバーカルチャーへのリスペクトを感じます。
また、香りは日本人の感性にはない、「あ、異国の香りだ!!」と一瞬で分かるような華やかさがあり、海外のバーバーカルチャーを香りで表現しています。
こういったこだわりとモノ作りへの姿勢が僕たちプロのバーバー、引いてはバーバースタイル好きのお客様達の心をつかんで離さないのです。
使いやすさやコスパの面でいったらほかの選択肢はもちろんあるのですが、せっかく1000円カットではない、わざわざ「バーバーショップ」を選んできて頂いたのであれば特別な体験をしてもらいたい。
そういった思いから僕はグリース・ポマードをメインに使っています。
4、まとめ
今回はたくさんあるスタイリング剤の種類と特徴について解説させていただきました。
- ワックスの種類の豊富さ
- なぜ今グリースが人気なのか
- ジェルがパキパキに固まる理由
- 僕たちバーバーがなぜポマードに対して愛着があるのか
などなど普段店先でスタイリング剤を見比べているだけではなかなか分からないことも多かったのではないでしょうか?
あらためてこうして振り返ってみると、様々なメーカーがしのぎを削りあってスタイリング剤を開発したおかげで、僕たちの髪型の選択肢がとても大きく広がったことが分かります。
ここでは紹介しきれなかった個性あふれる魅力的なスタイリング剤が実はまだまだたくさんあります。
詳しい使い方や髪質別の選び方なども今後紹介しますのでお楽しみに!!
Chill Chair 高円寺South 中林 司
おすすめの6つのグリースワックスをまとめました!ぜひ読んでください!